薬事博物館 その4 「子どものための中世の薬局セミナー」 |
子どもたちに中世の薬局セミナーをやっているところがあります。
フランクフルトから南東約25キロのゼーリゲンシュタット市にベネディクト修道院がつくった有名な薬草園があります。
キリスト教のなかでも厳格な戒律で知られているベネディクト会によって828年に創立され、現在はヘッセン州が管理運営しています。
かつての修道院の庭は適用領域別に13に色分けされ、その色の区画に薬草が栽培され、植物名が記載された立札がたっていて、非常にわかりやすくなっています。まわりには有用植物がその用途別に植えられています。たとえば染料植物、香料植物、芳香植物…。
私はここを3回訪ねていますが、あるとき、かつての修道院薬局を再現した展示室で、中世の修道士と修道女の衣装を着た職員がヘッセン州の小学生のために、薬草をつくるセミナーを開いていました。
ひとりひとりが小さな乳鉢をあたえられ、レシピにもとづいて乾燥した薬草を修道女に秤ではかってもらい、混ぜ合わせていました。まさに中世の薬局!
生薬ブレンドやお茶のブレンドのほかに、軟膏、丸薬なども作るそうです。日本の小学生にもこういう機会が用意できればと羨ましくなりました。
By 手塚 千史
参考:
薬事博物館 その1 「中世の薬局」 2011.04.21
薬事博物館 その2 「薬学のシンボルと薬局のエンブレム」 2011.07.28
薬事博物館 その3 「Hortus Eysttensis園芸大全」 2011.08.05